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●線維筋痛症とは?
■検査では異常が出ない「原因不明の痛み」が特徴
全身の広い範囲にわたって痛みを感じる病気です。
「関節や周囲の骨、筋肉などが痛む病気」という意味でリウマチ性疾患です。
しかしリウマチのような関節の腫れや変形はなく、一般の検査では目立った異常はみつけられないのが特徴です。
まだあまり名前の知られていない病気のため理解されないことも多いですが、「詐病」や「怠け病」などではありません。
命に関わる病気ではありませんが、痛みのために日常生活や社会生活に支障が出るほどになることもあります。
■まだまだ認知度の低い病気
欧米では1900年代初め頃から注目されており日本でも30年程前にこの 病気の記述があります。以前は「結合織炎」「結合織炎症候群」と呼ばれていたものが今は「線維筋痛症(線維筋痛症候群)」と改められました。
日本ではようやく名前が知られてきたところで、まだまだ一般向け書籍等も少なく情報を得にくい病気です。医療関係者にも認知度が低く、なかなか診断がつかなかったり、ヒステリーや気のせいで片付けられてしまうことも多いようです。
最近は医療関係者の間でも関心がもたれ、少しずつ治療や研究が進められているところです。現時点ではまだ不明な点が多い病気であり、治療法の確立が待たれています。
→参考 日経メディカルオンライン「線維筋痛症、一般医の25%が病名知らぬ」
■中高年の女性に多い
中高年の女性に多く発症しますが、若� ��世代の発症もあり最近では小児の患者もみつかっています。
欧米のリウマチ科ではよくある病気と考えられており、米国の有病率の調査では人口の約2%、日本での有病率は厚生労働省が調査中です。
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●線維筋痛症の症状
■からだの痛み
全身や身体の広範囲に痛みを感じます。
首〜肩、背中や腰部、臀部などの体幹部や、太ももや膝、下肢などの痛みやしびれ・こわばり感、また眼の奥や口腔の痛み、頭痛などまで、様々な痛みの症状があります。 痛みの箇所や強さは人により異なります。また、普通なら痛みを感じない程の刺激に対して痛みを感じることもあります。 痛い箇所は移動したりすることもあります。 コーチゾンは傷跡に何をするのでしょうか? |
また、気候や過労・ストレスなどで痛みの度合が強くなったり、レベルが変化したりすることもあります。 関節リウマチとよく似た関節痛などの痛みを訴えることも多いそうです。 |
からだの痛み以外にも様々な症状を伴うことがあります。
・睡眠障害
・疲労感
・抑うつ感、不安感
・過敏性腸症候群、便秘、下痢、腹痛
・手足のしびれ、こわばり、レイノー現象などのリウマチ症状
(※レイノー現象とは・・・血流が悪くなって指先が白色や紫色になり、冷えや痛み、しびれなどを伴う )
手根管症候群、胸郭出口症候群を伴うこともある
(※手根管症候群とは・・・手の関節にある手根管という神経が通る場所が狭くなって神経を圧迫し手指にしびれや痛みなどがでる
※胸郭出口症候群とは・・・鎖骨付近で手の方へいく神経や血管が圧迫され腕や手指にだるさやしびれ、痛みなどがでる )
・頭痛
・目や口の乾き
・頻尿、膀胱炎
・その他、月経困難、生理不順、冷感、耳鳴り、むずむず足症候群 など
(※むずむず足症候群とは・・・睡眠時に足がむずむずしたり痛がゆい不快感が起きる)
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●線維筋痛症の病態や、関連の深い病気
■他のリウマチ性疾患などと併発することがある
関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、強皮症などの膠原病や、変形性脊椎症、脊椎関節炎などの病気に続いて線維筋痛症を発病するなど、他の病気に併発することがあります。
○他の病気の併発がない場合
・・・一次性線維筋痛症
○他の病気に併発する場合
・・・二次性� ��維筋痛症
と分類する場合もあります。
■慢性疲労症候群とよく似た病気?
疲労感は線維筋痛症の患者に非常に多くみられる症状ですが、慢性疲労症候群と併発するケースもあり、また類似の疾患であるという考え方もあります。
研究者によっては病気の元が同じで症状の現れ方が異なるだけと考える人もいます。
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■脊椎関節炎(血清反応陰性脊椎関節炎)と併発することも
脊椎や手足の関節に炎症がおきる脊椎関節炎は、認知度が低い病気ですが、線維筋痛症と似た症状を訴えるため鑑別が必要であり、また併発している場合も多いそうです。
→参考 浦野房三先生のサイト「線維筋痛症」の「脊椎関節炎について」
■心身症的な側面
脚とbuttucks痛みを眠ることができない
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→参考
(Webの夕刊フジBLOGは2009年3月で終了)
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●線維筋痛症の検査、診断
■検査
線維筋痛症については、今のところこの病気が診断できる検査はありません。血液、レントゲン、CT、MRIなどの検査を行っても、線維筋痛症と明確に診断できる検査はないのです。
リウマチや膠原病である可能性、あるいは併発している可能性もあるので、これらのリウマチ性疾患などの検査を行う必要があります。
■診断
1990年発表のアメリカリウマチ学会の診断基準を参考にして診断されることが多いそうです。
1.広範囲の疼� �の既往歴があるか
2.特定の圧痛点を手指で圧したときに、18ケ所の内11ケ所以上に痛みを感じるか(圧す強さは4kg)
※他に病気があっても線維筋痛症の診断は除外されません。
→参考 浦野房三先生のサイト「線維筋痛症」の「線維筋痛症とは−診断について」
■何科に行けばいいの?
線維筋痛症の患者の診療数としてはリウマチ科がもっとも多いと思われますが、内科や整形外科、心療内科などの科でも診療しているところがあります。
線維筋痛症の診療をしている病院のリストや相談窓口など、ネットで紹介されている情報もありますので参考にするとよいでしょう。
→参考 リンク集 情報センター/相談センター/病院リストなど
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●� �維筋痛症の原因
■原因は今のところ未解明
原因はまだ解明されていません。神経・内分泌・免疫系の不調が考えられています。
・睡眠障害との関連
・痛みの抑制や痛みの情報を伝える神経伝達物質との関連
・脳の痛みの信号などに関わる部分の血流低下
などの研究がすすめられています。
■外傷や手術、ストレスがきっかけとなることもある
感染症、外傷(交通事故など)、外科手術、ストレス(肉親の死など)、幼児期の虐待 などが発症の引き金となることがあるそうです。
線維筋痛症の「痛み」とは?
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●線維筋痛症の予後
■痛みによるQOL低下がある/2〜3年で症状が改善されることも
線維筋痛症は命にかかわる病気ではなく、身体障害者になったりすることもありません。しかし、痛みによりQOL(Quality of Life=生活の質)が低下したり日常動作に不自由することがあり、中には社会生活に支障が出たり入院が必要になるケースもあります。
症状が重症化したり長引くこともありますが、数ヶ月〜1、2年で症状が改善されることもあり様々です。軽症の場合などは2、3年で回復するケースも少なくないようです。
無理解な対応などで痛みが増すこともある
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●線維筋痛症の治療
根本的な治療法は確立されていないので、様子をみながら治療が処方されていきます。
抑うつ症状などの精神症状が強く出ている場合には、心療内科や精神科との連携も必要になります。
運動療法や代替療法も有効な場合があるといいます。ただし個人差があるので状態に合わせて行う必要があります。
1.薬物治療
抗炎症剤、精神安定剤、抗うつ剤 など
2.リハビリテーション
<物理療法>
電気治療、温熱治療など
<運動療法>
ウォーキング、水泳、エアロビクス、ヨガ、太極拳などの運動に効果が認められている。痛みだけでなく気分や抑うつ状態にも効果があるという
3.心理療法欧米では認知行動療法がさかんに行われている
4.代替療法
鍼灸、マッサージ、指圧、カイロプラクティックなども有効な場合がある
5.ライフスタイルの見直し
仕事と休養のバランス
リラクゼーション
ストレスの軽減、感情処理 など
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(以上は 書籍・サイトなどの資料を参考に一般的な線維筋痛症の知識をまとめたものです。2007/05/11 :参考文献)
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