今後、自分はどうなるか…漠然とした不安
田中 それで、先ほどのご講演のタイトルは「不安の時代に心を保つ」ということでしたが、この不安の正体って何でしょうか。
香山 何でしょう。藤本さん、何でしょうかね。
藤本 外来で患者の皆さんがおっしゃる不安というのは、今の不安じゃなくて、今後、自分はどうなるんだろうという漠然とした不安です。先ほど香山さんの講演にもあったように、今は特に問題ないんだけども、これからどうなるかという不安を抱えている人が多い気がします。
田中 どういう不安を訴えますか、受診する方は。
藤本 本当にいろいろですけども、風邪を引くんじゃないかと思って風邪薬をたくさん飲んでしまったりとか、そういう漠然とした不安を持っている人もいます。
突然の痛みの右腿
うつ病が教えてくれることもある
香山 予感をして、それだけで不安になるという症状を、精神医学では予期不安といいます。
でも、何でも対処できるはずって、風邪薬さえ飲んでおけば風邪引かないはずっていうのは、ものすごい傲慢な思い上がりですよね、ある種、人間の。
例えばどんなに手洗いしてうがいをして、ビタミン剤とか飲みまくったって、風邪を引くときは引くわけじゃないですか。
病気とか災害とか、そういうものに対して備えておけば、管理してコントロールできるはずなんだというのは、これは生き物としてすごい思い上がっているような気がするんですよ。
原発の問題と健康の問題とを一緒にはできませんが、健康について気をつけるところは気をつけるにしても、例えばうつ病を完全には予防できない。
鎮痛センターステートヴィル、ノースカロライナ州
語弊があるかもしれないけど、防ぐ必要もないと思います。さっき言ったように、うつ病が教えてくれることもあるし、うつ病がきっかけで人間性を取り戻せる人もいます。別に100%悪いことだとも思わないんです。だから、100%予防しようと思わないで、なっても、敗北したとか、病気になったからもう私は負けたとか、そう思わない。病気になったら医者のところに行けばいいわけです。
というように、起きたときにちゃんと現実的に対処していくという気持ちを持って、あんまり全部を駆逐しようとか、排除しようとか、体に悪いものを全部遠ざけて100%健康で生きていこうと思い過ぎないことです。
また、� �か起きた時には、人を頼るとか、人に甘えるとか、すがるということをしてもいいんじゃないかなと思いますね。
犬が嘔吐と一口は、これを引き起こすもの喘ぐ
田中 藤本さんは女性外来を担当されていますが、心の問題でも、年齢によって今悩んでいることが違うということがあると思います。皆さんが心の問題として悩んでいる問題は、どんなことですか。
年齢によって違う女性の悩み
藤本 やはり若い方だと、月経困難症ですね。月経に伴う頭痛であったり、イライラであったり、そういったものは月経のホルモンによって起こっているので、薬とかピルとかで緩和することが今ではできるんですね。
そういう精神症状で人間関係を悪くしてしまったりする方もいるので、そういった若い方で生理が重いとか、イライラが強いとか、そういう方は女性外来に相談していただいたら、解決法が見つかるかもしれません。
30代とか40代の方でしたら、やっぱり子宮筋腫とか、乳がんとか子宮
あとは、更年期ですが、まずは女性外来に来ていただいて、ホルモン補充療法などの治療が本当に必要かどうか、診察を受けられるといいと思います。
(2011年7月11日 読売新聞)
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