2012年5月10日木曜日

Q&A | 膝(半月板・前十字靭帯)肩・肘・足の損傷に対する関節鏡手術なら


こちらは関節鏡手術部門に関しての質問をまとめています。
お問い合わせいただく前に一度ご確認ください。

関節鏡視下手術について

関節鏡は細い棒状のカメラで、膝や肩では直径約4mmで、先端には30度斜めに角度がついているものを主に使用します。
手指や足のような小関節ではさらに細い直径のカメラを使用しますが、カメラの直径が小さくなるとそれだけ視野が狭くなり、関節内でできる操作も限られてきます。
細胞外液または生理食塩水で関節を膨らまし、約1cm弱の皮切を2~3か所作成し関節鏡および手術器具を挿入し手術を行います。手術はカメラに接続されたテレビモニターを見ながら行います。
 
 

  関節鏡視下手術 ーダメージの少ない手術法ー
 

関節鏡の利点

  
1.手術侵襲が少ない
  大きな切開による従来の手術と異なり、正常組織をほとんど傷つけず損傷部位のみ治療できる。

2.正確で詳細な診断と治療が可能
  テレビモニターに拡大された画像を見ながら手術する為、詳細な観察と正確な処置が可能となる。

3.術後疼痛が少ない
  手術創もわずかで美容的にも優れ、術後疼痛や筋力低下も最小限に抑えられる。

4.術後早期よりリハビリが可能
  術直後よりリハビリが可能で、術後の固定はほとんど不要です。スポーツ選手には必須の治療法です。

日帰り手術について

通常、膝や足関節など下肢の関節鏡の場合、背中に針を刺して行う脊髄麻酔や硬膜外麻酔で行います。
(この場合、術後に頭痛や嘔吐、ひどい場合は髄膜炎などの合併症を起こす可能性があるため、入院手術となります。)
また、肩や肘関節など上肢の関節鏡の場合は、全身麻酔で行うのが一般的です。
(この場合も、麻酔により身体に負担がかかるため、入院手術が望ましいです。)

当院では、可能な限り手術部位のみの最小限の麻酔で安全に行うことをコンセプトとしており、神経ブロックと関節内麻酔を組み合わせて手術を行っております。
手術を手際良く、短時間で行えば、この麻酔で十分です。

【局所麻酔による関節鏡手術の利点】
①日帰りが可能である。②麻酔による合併症がほとんどなく、安全である。③意識がしっかりしているため、手術中にモニターで説明を受けることが出来る。④術直後より歩行可能である。⑤術直後より飲食が可能である。⑥入院がないため金銭的に有利である。⑦患肢のみの麻酔のため、精神的ストレスが少ない。

    - 日帰り関節鏡手術のすすめ (局所麻酔によるDay Surgery) -

日帰り手術といっても、1日で治ってしまうわけではありません。

手術の内容は、入院での手術と同じですので、術後の患部の安静度は守ってもらわなければなりません。
一般的に、手術部位の組織修復に期間(皮膚:約1週間~10日、関節内:約3週間前後)を要するため、その期間はその部位に負担をかけすぎないことが肝要です。

膝・足関節の場合は、術後一定期間の松葉杖使用
肘関節の場合は、術後一定期間の三角巾使用、が必要になります。

半月板の手術について

一言で言うと「本来の半月板の形に修復すること」がベストと考えています。

通常の半月板断裂の場合は、断裂部を縫合して、縫合部が強固に癒合して半月板全体がもとの形態に戻れば理想的です。

しかし、実際は半月板が断裂してから時間が経っていて組織が変性していることも多く、その場合は縫合しても強度的に弱いため、術後に再断裂を起こす可能性があります。
また、断裂の部位によっては、血流に乏しく、縫合の適応にならない場合もあります。

半月板の縫合の適応にならない場合は、部分的に切除することになります。
半月板を部分的に切除した場合は、クッションが少なくなった分、膝の機能が落ちますので、術後は活動性を下げ、膝周りの強化をする必要があります。そのようなリハビリを怠ったり、術後に激しい運動を続けていると、将来的に関節軟骨がすり減って、変形性膝関節症になりやすくなります。

半月板縫合
 【利点】 本来の半月板の機能が保たれる。
 【欠点】 再断裂の可能性がある。 スポーツ復帰に時間がかかる。

半月板切除
 【利点】 早期復帰が可能。 
 【欠点】 変形性関節症が進行する可能性がある。

スポーツ選手の場合、競技種目や競技レベルによって、適応や手術方法を変える場合もあります。

     -関節を守る軟骨のケガとスポーツ現場でのケア&予防- 


不眠症CDの深い声の修道士
半月板の断裂形態によっては、手術ではなく保存的に経過をみることが可能なものもあります。
(たとえば、症状が比較的出にくい安定型の変性断裂や水平断裂などは、活動性を下げ、ヒアルロン酸の関節内注射で様子をみることも可能です。)

しかし、実際に痛みがある場合は、その痛みの出る動作によって半月板の傷が広がったり、半月板の上下に接している関節軟骨を傷つけたりしている可能性が高く、そのまま放置していると急激に軟骨がすり減り、変形性関節症が進行します。

当院にはスポーツ選手が多く来院しますが、何度も膝を腫らしながら、「気合と根性で20年間痛みをこらえて柔道をしてきました」とか、「手術で半月板をとりたくないので、痛みをがまんして毎日テーピングしていました」とかいう選手がたまに外来に来られます。そのような選手は全員、若くして変形性膝関節症になってしまっています� ��

「手術をして痛みをとって、また昔のように活躍したいです」と言って来られる選手もおられます。しかし、手術といっても、傷ついた半月板や関節軟骨を新品と取り換えるわけではありません。損傷部位が小さいうちに治療を開始した人ほど術後の成績は良いと考えてください。

  
 写真は 外側半月板断裂を10カ月放置し、痛みをこられながらバレエの練習を続けていた39歳女性のもの。
 半月板は変位し、関節軟骨は脛骨側、大腿骨側ともに剥がれてしまっている。

半月板が生まれつき円板状になっている場合があり、外側半月板に多く、日本人に比較的多いと言われています。
円板状半月板は、損傷がなければ症状が全く出ないことがほとんどで、そのまま気付かずに一生を終えてしまう人も多いと思われます。

一般的に円板状半月板は、正常の半月板よりも厚みがあり組織が弱く、変性や損傷を起こしやすいため、スポーツを行う10代の若者で問題になることが多いです。
また、一度損傷を起こすと、自然修復することはほとんどないため、手術治療が必要になってきます。

当院では、半月板断裂に対しては、前述のように半月板を可能な限り正常に近く形成することを目標として手術を行っており、円板状半月板断裂の場合も同様であります。
半月板の余分な部分は切除し、厚い部分は薄く形成し、残したい部分が断裂している場合は縫合しており、通常はこれらを組み合わせて手術をしています。

半月板をほとんど摘出してしまいますと、一時的には症状が取れても、術後の軟骨の変化も起きやすくなり、長期的には変形性の関節症は必発であります。外側半月板は膝関節の外側の安定性に非常に大切であるため、当院ではほとんど切除せざるを得ない場合でも、極力辺縁部は残すようにしています。

ただ、形成して残した半月板も強度的には弱いことが多いので、激しいスポーツを行う場合には再断裂を起こす可能性があります。

     -術後に痛みが再発したケースの相談-

     -円板状半月板形成手術の実際-

以前(約20年以上前)は、関節を切開して断裂した半月板を直接縫合していました。(直視下縫合)
その後、関節鏡が発達してからは、関節鏡視下に縫合するようになり、現在では、半月板縫合と言えば関節鏡視下半月板縫合のことを意味しています。

大きく分けると以下の3種類の縫合法があります。
①inside-out法(関節の中から外に糸を引き抜いて関節の外で糸を結ぶ方法)
②outside-in法(関節の外から中に糸を通して関節の外で糸を結ぶ方法)
③all-inside法(関節の中だけで糸を通し関節の中で糸を結ぶ方法)
断裂した場所と半月板の状態でどの縫合法を選択するか決めます。

     -半月板縫合の実際-

前十字靱帯の手術について

受傷直後は、組織の炎症が強いため、早期に再建手術のような侵襲の大きな手術を行うと、
術後関節が硬くなりリハビリに大変時間を要することが分かっています。
通常、組織の炎症がおさまり、関節の動きが回復するのを待ってから靱帯再建手術を行います。

具体的には、少なくとも受傷後3~4週間は、組織の炎症をとり、関節の可動域を戻し、
周囲の筋力を落とさないような理学療法を行う必要があります。

 

受傷早期であれば、装具による保存的治療によりある程度の関節の安定性が得られる場合があります。
(当院では、受傷後2週以内に装具による保存療法を開始可能であった症例のうち、約2割がその後(3ヶ月後)のMRIにて改善が見られています。)
しかし、ほとんどの症例では膝不安定性が残存し、スポーツ活動に支障を来たします。
今後激しいスポーツ(特に、ジャンプやターン、フェイント動作の多い競技やコンタクトスポーツ)をやりたい人や若年者では手術でしっかり治した方が良いでしょう。
逆に、今後スポーツ活動をしない方や高齢者で、日常生活で膝の不安定感を感じない方は手術しないでも良いでしょう。

 


足首の発熱の痛み
靱帯再建手術は、半月板切除や関節鼠摘出のように悪い箇所を取り除く手術とは違い、新しく靱帯を移植して作りなおす手術です。そのため、移植した新しい靱帯が骨と馴染んで、強度的にしっかりしてくるのに時間を要するのです。

以前はAccelerated Rehabilitationと言って術直後より可動域訓練や荷重を積極的に行っていましたが、近年では術後1週間程患部を安静にすることにより、組織の早期安定を図るようにしています。
術後早期は移植靱帯と骨はまだ固着しておらず、糸と金具で靱帯を支えているようなものです。そのような時期はリハビリを制限し、靱帯にストレスのかからないメニューを行いますので、どうしても膝周囲の筋力低下は避けられません。

術後2カ月前後で日常生活に支障がなくなってくると、リハビリがおろそかになる人がいます。そのような人は単に術後半年が過ぎたからと言って、筋力が十分に回復していないにもかかわらずスポーツ復帰してしまう場合があります。そのようなケースが最も危険で再受傷を起こしやすいのです。

一般的に、復帰の目標を具体的に持っている人(たとえば、「1年後の公式戦に出たい」とか「半年後の練習に合流したい」など)の方が、日常生活に復帰した後もそのままスポーツ復帰に向� �たリハビリに移行してもらえるため、術後経過の良好な印象があります。

「半年でスポーツ復帰」というのは術前後のリハビリをしっかりと理想的に行えた場合の最短のコースと考えて下さい。

スポーツ復帰には、日常レベルに戻ってからのスポーツ復帰に向けた「アスレティック・リハビリテーション」が不可欠で、筋力強化のトレーニングとともに競技特有の動きに対するドリルが必要です。なかでも、再受傷をしないための膝の使い方や動作の再教育がもっとも大切であると我々は考えています。

前十字靱帯の再建手術は、最近の約20年間で飛躍的に進歩しています。
手術とともにリハビリも進化し、入院期間も短縮されてきました。
(昔は術後にギプスを巻いてその後のリハビリを兼ねて6週間位入院していた頃もありました。)

現在でもリハビリを兼ねて、術後1カ月位入院で治療できれば理想的です。
しかし、現実問題として日常生活を普通に送っていた人が突然1カ月近く入院するということは、非常に厳しいと思われます。夏休みの学生を除けば、、、
そういった背景もあり、最近では術後2~3週で退院となる病院が増えてまいりました。

当院では、ベット数に限りがあるため、「安静度が守れれば、必ずしも入院していなくても良い」という考えのもとに治療を行っており、全例とくに問題なく術後3日~5日で退院されております。しかし、遠方より来られている方は、当院の近くにホテルを1週間ほど借りられてリハビリをされているケースも見受けられます。

術後3~5日で退院出来たからと言って、その翌日からすぐに仕事や学校に行けるわけではありません。

術後の安静度が守れない方やリハビリを兼ねた入院を希望されている方は、他院を紹介しておりますので、診察時にお申し出ください。

現在、移植腱として採取される腱は、
 ①半腱様筋腱
 ②膝蓋腱
の2種類です。

以前は、大腿外側部の筋膜や人工靱帯が使われた時もありましたが、成績が思わしくないため、現在ではほとんど使われなくなりました。

①半腱様筋腱は、膝の内側から膝~大腿の裏を通って膝を曲げる働きをしています。
 その名前の通り、半分が腱の様な筋肉で、その腱の部分を採取して移植腱を作成します。

    
  半腱様筋腱で再建した場合のメリットは
   ◎腱の採取に必要な傷が小さくて済むこと
   ◎腱を束ねて作成するため、2重束や3重束の再建が可能であること
   などが挙げられます。

  デメリットは
   ×膝関節の深屈曲位での膝屈曲トルクが低下すること
   ×術後早期のリハビリ(レッグカール)でごく稀に肉離れ症状を起こすことがあること
   などが挙げられます。

②膝蓋腱は、膝のお皿の下の腱で、大腿四頭筋に移行しており膝を伸ばす働きをしています。
 腱の中央3分の1を、脛骨と膝蓋骨の骨片をつけたまま採取します。

    

    膝蓋腱で再建した場合のメリットは
    ◎移植腱がしっかりしていること
    ◎骨と骨で強固な固定が得られること
    などが挙げられます。

    デメリットは
    ×腱採取の傷が若干大きくなること
    ×もともとお皿と大腿骨の噛み合わせや軸が悪い人やお皿が不安定な人では、
     術後に一時的にお皿周りの症状(痛みや不安感)が出現する可能性があること
    などが挙げられます。

いずれの腱を使用した場合でも、本来の靱帯の解剖学的位置に靱帯を再建すれば、非常に良好な手術成績が得られます。
また、採取した部位は、そのまま空虚のままではなく、経過とともに靱帯様組織が再生されてくることが分かっています。

 


背中の痛みホットまたはコールド
前十字靱帯再建手術による合併症には、下記のようなものが挙げられます。

①出血 ・・・ 関節鏡視下手術なので、手術中の出血はそれほどありませんが、
         骨に穴を空けて靱帯を通すので、術後に骨からの出血があります。
        (対策)術後に関節内や皮下に出血が溜まらないように、手術した方の
             足全体を挙上し、アイシングします。
②感染 ・・・ 関節鏡視下手術は、手術中に関節を洗浄しながら行う手術なので、
         手術中に感染を起こす可能性は、切開による他の手術よりは低いです。
        (対策)予防的に手術前後に抗生剤の点滴を行います。また、手術後に
            創部より感染を起こさないように、術後創部を清潔に保ちます。
③神経損傷 ・・ 手術中に確認が困難な極細い神経を傷つける場合があります。
           感覚のみの神経のため、皮膚の感覚が鈍くなったり、しびれたり
           することがありますが、通常時間とともに回復してきます。
          (対策)当院では特に膝の内側下方にある細い神経に対して注意を
              払うようにしており、神経の合併症はほとんどありません。
              -合併症対策ー
④血栓症 ・・・ 手術後の局所安静時にエコノミー症候群様の症状を引き起こす
           可能性があります。
          (対策)予防的措置として、術中より弾性ストッキングを使用し、
              術直後より足首の運動を積極的に行います。
⑤その他 ・・・ 予期せぬ合併症をきたすことがありますが、その都度説明し、
           対策を講じます。

一般的に、前十字靱帯を断裂するのは、試合を間近に控えた競技レベルの学生に多いことから、このような質問は非常に多いです。
たまに、ジャンプ、ストップ、ターンといった動きの少ない競技で、競技レベルが低く、靱帯断裂の程度が軽い場合には、そのままスポーツを続けられるケースがありますが、通常は膝崩れを再発し、症状を悪化させ、しばしば半月板断裂や骨挫傷、軟骨損傷を合併してきます。

靱帯が切れていれば、いくらテーピングやサポーターをしても、思いっきり動けば膝崩れを起こすのです。
(テーピングやサポーターでは解決しないので手術ということなのです。)

それでも、痛みを我慢できるからと言って何度も膝崩れを繰り返しながら試合に出ている人がいます。当然自分の思う動きが出来なくなりなり、パフォーマンスも下がってきます。

膝がずれる⇒関節内を損傷する と考えてください。

靱帯以外の組織が損傷する前に、靱帯再建手術をして膝関節を安定させれば、非常に良い膝に回復します。
しかし、膝崩れを繰り返していると、半月板が傷ついて、軟骨が擦り減り、関節の袋全体が緩くなってきて、もう靱帯だけの問題ではなくなってきます。治療に限界が出てくるのです。

試合も大事ですが、膝も大事です。
無理をしても、後で治してもらえばいいや という考えはやめてください。
手術前に膝がずれる回数が多ければ多いほど、手術成績が悪くなると思ってください。

 

昔は前十字靱帯のことが今のように良く分かっていなかったため、スポーツで膝を捻って受傷した場合、3~4週のギプス固定とリハビリで治療は終了となっていました。(側副靱帯は関節外靱帯なのでそれでも治癒するのですが、十字靱帯は関節内靱帯なので血行に乏しく、経過とともに緩みが出てきてしまいます。)

若い時にそのような治療を受けて、その後膝崩れを我慢しながらスポーツを何十年も行ってきたという年配の方がよく外来に来られます。そのような膝は全例「変形性膝関節症」となっており、ほとんどが将来の「人工関節」候補です。

   

  写真は、56歳、女性、若い時にスキーで左膝の前十字靱帯と半月板を痛めましたが、30年間放置し、そのままスポーツを継続していたとのことです。左膝(向かって左)は関節裂隙が狭小化し、著明な変形性関節症となってしまっています。

このように、前十字靱帯不全膝でスポーツを継続するということは、その時だけの問題ではなく、20年後、30年後の問題なのです。

肩・肘関節手術(日帰り手術)について


手術時間の長くないものは可能です。当院では肩関節と肘関節の手術には、腕神経叢(斜角筋間)ブロックと全身麻酔を併用して手術を施行しております。
当院の特徴として、腕神経叢ブロックを施行しているので、全身麻酔を浅く(麻酔投薬量を減らせる)できること、術後の疼痛が少ないことが日帰り手術を可能としております。
また原則として、尿道にカテーテルは留置しませんので、短パンなどをはいていただいたまま手術は試行します。
手術時間がおよそ2時間以内の、肩関節脱臼、拘縮、腱板、投球障害肩、インピンジメント症候群、肘関節鏡全般が対象となりますので、肩・肘関節手術の80%以上が日帰りで可能です。しかし、全身麻酔は術後3-4時間の経過観察を要しますので、日帰り手術は午前中に原則行っております。また翌日のガーゼ交換のために再度来院も必要です。ご高齢の方や、遠方の方、午後の手術の方は一泊入院をお勧めしております。

頚椎から分岐した神経が集まって、上・中・下神経幹というまとまりを作る部分に(およそ頚椎の外側4-5cmで鎖骨の上)、局所麻酔薬を使用してブロック注射をする手技のことです。肩から指先までの神経が一時的にブロックされますので、欧米ではこれのみで手術をする施設もあるほどです。
当院では確実に、安全にブロックするために超音波(エコー)で神経の位置を確認して、ブロック注射しております。ブロックの成功率は90%を超えます。細い針を使用しているため神経損傷など合併症の確率は非常に低いと思われます。また、局所麻酔薬のアレルギーの有無を手術前に外来でテストします。ブロック効果の持続時間は平均すると5時間程度ですが、個人差がありますので、他に点滴などから鎮痛薬を追加する場合もあります。

肩関節脱臼の手術について

脱臼直後であれば1週間程度は三角巾で安静を保っていて下さい。
また、手術直前は脱臼しないように極力注意して、脱臼しやすい方向に腕を持っていかないようにしてください。
脱臼をした直後は関節の内部に出血が多くなるため、少々手術の妨げとなるからです。
しかし、上記の場合を除いては、当院のリハビリなどで関節が固くなり過ぎないようにある程度関節を動かしておいてください。

修復部位にもよりますが、原則3週間は三角布とバストバンドで肩を胸に付けた姿勢(内旋位;写真)で安静にしていただきます。この間は肩を開かずに指先でデスクワークする程度にとどめていただきます。車の運転は術後1ヵ月間、自転車の運転は1.5ヵ月間お控ください。

 

利き腕か非利き腕の手術であるかということと、スポーツの種類によって変わります。
接触の少ないスポーツ(野球、テニス、水泳)で術後4-5ヵ月、強い接触のあるスポーツ(ラグビー、柔道、スノーボード)で術後6ヵ月が完全復帰のめどとなります。

肩腱板の手術について

いいえ。手術は関節内のひっかかりや疼痛が保存加療(注射やリハビリ)で取れない場合が対象となります。
まずは保存加療を行います。
しかし、当院に来るまでの罹病期間、治療機関が長い場合や、疼痛の強い場合は早期に判断した方がいい場合もあります。
また、腱板断裂そのものは自然治癒が望めず、年間に約1cm位断裂が大きくなると言われております。大きな断裂になる前に手術をした方が、治療成績は良好ですので、50歳以下の方は早期に修復することをお勧めしております。

肘関節鏡(滑膜切除、遊離体切除、骨棘切除、テニス肘腱部分切除)について

手術の程度・範囲にもよりますが、三角巾で1週程度安静にします。
術後2-3週は、軽い作業に留めて、重いものを持ったり、術前の痛みの出やすいところに力を入れないようにしてください。
その間のリハビリも重要です。

手術全般について

手術日の決定時、またはその後にお薬手帳か実際の内服薬をお持ち下さい。
降圧剤(高血圧の薬)は原則として手術当日も少量のお水で内服していただきます。
抗凝固剤(血液を固まりにくくする薬)は手術の1週間前に中止していただきます。
術後は、アレルギーの方を除いては、鎮痛薬・抗生物質を数日内服していただきます。

通常、手術翌日に傷の上のガーゼを透明なフィルム素材のもので覆いますので、手術翌日からシャワー浴は可能です。(ただし手術創より出血のある場合は、数日遅れる場合があります。)
フィルムを取り除く術後10日目前後から、湯船での入浴が可能となります。

術後1週は手術創(傷)がまだふさがっておらず、汗をかくと患部が感染する恐れがありますので、当院のリハビリのみにとどめてください。
肩肘手術の場合、ランニングなども患部が安静を保てなくなるので、原則として固定が外れてからにしてください。
早めに患部以外のトレーニングを希望される場合は、当院の理学療法士およびアスレティックトレーナーと術前からプランを立てると良いでしょう。


手術後のリハビリは原則として、当院で受けていただきたく存じます。
術式・考え方を十分理解した理学療法士のリハビリを受けていただくことが、治療上非常に重要であるからです。
一般に「手術が半分、術後リハビリが半分」とも言われるほど術後のリハビリは重要です。
術前の悪い関節の使い方や癖を直すことも重要です。



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