ピロリ菌とは何?
ヘリコバクター・ピロリと言う細菌で、胃粘膜に住み、毒素によって胃粘膜を障害します。
日本では50才以上の人の約80%に存在し、40才台は約50%、40才以下は10〜30%程度と言われています。なぜ年齢によってこんなに差があるかというと、日本の衛生環境が悪かった40〜50年前に子供だった人の多くが感染したためと思われ、現在のように衛生が良くなった環境ではその感染は極端に少なくなってきています。
ピロリ菌のいない胃には胃がんはできない
ピロリ菌に感染した胃には炎症が起こり、ほぼ100%の人が慢性胃炎(萎縮性胃炎)になり、徐々に進行します。また3〜4%の人に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を認め、そして約0.4%に胃がんの発生を認めます。
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私が聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院で110人の胃がんの方を調べたところ104人(94.5%)がピロリ菌陽性で、特に50才以下の若い胃がん患者さんでは14人中14人(100%)が陽性でした。つまりピロリ菌の存在は胃がん発生に強く関係しており、逆にいえば、ピロリ菌陰性の方はまず胃がんにはならないと考えて良いでしょう。
ピロリ菌の検査は内視鏡を受けなくてもできる
現在当院では血清抗体法と呼気テストを行っています。
血清抗体法は採血で分かるので簡単ですが、感度では呼気テストにやや劣ります。
呼気テストは試験薬を飲んで20分後に風船をふくらませて呼気を採取するだけで簡単に行えますが、朝食を抜いてきていただかなくては検査ができません。
いずれも内視鏡検査を受けなくても可能です。
検査結果が陽性だったらどうするの?
デンタルダムは何ですか?
ピロリ菌陰性の場合は、胃の病気になる可能性は低く、胃に関しては健診目的の内視鏡検査は受ける必要はありません。
しかしピロリ菌陽性の場合は、症状がなくても胃の病気を認める場合があります。
ぜひ内視鏡検査を受けるようにして下さい。そして除菌治療をするかどうかを考慮して下さい。
ピロリ菌の治療はどうするの?
ピロリ菌の治療は除菌と言って飲み薬の治療です。
2種類の抗生物質と1種類の胃酸を抑える薬を1週間内服しますが、薬の量がやや多いので、 副作用などについてよく説明を受けられてから治療するようにして下さい。
慢性胃炎だけでも除菌治療を受けるべきなの?
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の方はぜひ除菌して下さい。除菌治療によって再発が予防され、症状が改善します。過形成性ポリープという赤いポリープのある方も除菌によって無くなったり、縮小しますので、除菌を考えて下さい。
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慢性胃炎だけの方は全ての方が除菌治療したほうが良いというわけではありません。
若い方(60才以下)で胃に症状のある方は除菌された方が良いでしょう。
症状がなくても胃がんの予防のために除菌を考えられても良いと思います。
高齢の方は除菌によってかえって胸やけなどの症状が増える事もあるので、主治医の先生とよく相談されてから考えた方が良いと思います。
内視鏡検査ってつらいの?
胃の内視鏡検査は苦しくて大変だというイメージがあるでしょうが、今は簡単に苦痛なく受けられるようになっています。どうしても苦手な方や不安な方は安定剤を注射して、楽に受けられる方法もありますので、相談してみて下さい。
胃がん治療の基本は早期発見、早期治療です。小さなうちならお腹を開けずに内視鏡を使った治療も可能です。ぜひ定期的に検査を受けるようにして下さい。
さいごに
いずれはピロリ菌に感染している人が少なくなり、また除菌治療が一般的になって胃がんは減っていくと思われます。
それまでの間は皆さんにピロリ菌の事を知ってもらい、積極的に検査・治療していくのが私たち消化器内科医の使命だと思っています。
胃の症状のある方はもちろん、症状が無くても胃の病気の心配がある方はぜひピロリ菌検査を受けてみて下さい。
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