オゾン(O3)ホールと光化学スモッグ
はじめに
産業活動が活発化するほど大気中等にまきちらす汚染物質の量が増え、その種類も非常に多くなってきた。それらが自然の浄化作用の限界を越えた場合、一部の地域に滞留、蓄積され、生物や環境に大きな影響を及ぼす。そこで、人の健康や生活環境を保全するため、われわれは何をすべきか、しなければならないか、遅れ馳せながらも真剣に考え始めたわけです。しかし、我々はすでに取り返しの出来ない量の、オゾン破壊物質・地球温暖化物質・海洋汚染物質などを地球上に撒き散らしてしまい、人類滅亡のシナリオが実行されているのではないか、と悲観的に考えてばかりは居られない。(人類は何時までもに地球上に住む為に)
気象庁の大気汚染気象センターは、いろいろな大気汚染の中で、気象現象が大きく関与していると考えられる光化学スモッグを対象に、その予測(Ox濃度等)や気象実況と気象予報等を地方自治体に提供するとともに、高濃度のOxが予測された場合は「スモッグ気象情報」を発表している。
ここでは前半オゾンホール、後半でオゾンと光化学スモッグについて考えてみる。
オゾンホール
1.南極のオゾンホール
最近、南極でオゾンホールが観測され、オゾンが注目を集めている。もともとオゾンは、自然界では赤道付近の上空(成層圏)で最も活発に造られ、*大気大循環によって冬半球高緯度に輸送されるため、オゾン量は赤道付近の成層圏より冬半球高緯度で多い。成層圏(高緯度で約9キロ〜50キロ)のオゾン層は、生体に有害な紫外線をはじめ広く日射を吸収し、成層圏を暖めることにより現在の気候を維持する働きをしていると考えられている。
しかし、人工衛星による観測データの解析により、春(日本では秋)の南極を中心とした上空のオゾン量減少域(円形ホール)が年々大きくなっていることが分かった。また、この原因としてオゾンと同じ経路で輸送されたフロンであることも分かってきた。
オゾンホールは通常、南極の春8月頃から現れ、9月から10月初めにかけ発達し、その後は次第に衰弱して夏11月末から12月に消滅する。
1987年以降オゾン全量が1970年代平均の50%以下にまで減少するオゾンホールが毎年現れている。最近、北極付近でもオゾン減少域が観測され始めている.
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もっともオゾン減少の激しい高度は12〜22kmの範囲であるが、ときには殆どオゾンのない層が現れることがある。
2.フロン
フロンはメタン(CH4)、エタン(C2H6)等の炭化水素を構成する水素のすべてを、またはいくつかをハロゲン元素(塩素、フッ素等)で置換した分子式を持つ化合物である。正しくはこういった化合物を「クロロフルカーボン(CFC)」と言う。「フロン」と言うのは日本独自の言葉である。類似の化合物で臭素(Br)をふくむものは「ハロン」といっている。
フロンは化学的に極めて安定で、大気中での寿命は種類によって異なるが、60年から400年と考えられている。大気中に放出されたフロンは、先ず対流圏(赤道付近で高度約17キロ以下)に蓄積し、次いで大気の流れあるいは拡散により、成層圏(対流圏上面から高さ約50キロ以下)にも及んでいく。フロンはそこで地上には到達しない波長の短い紫外線に遭遇する。するとフロンを構成している塩素原子(Cl)が遊離される。
ここで重要な事は、南極や北極のオゾンを減少させる物質(フロンその他)が、その発生源から大気に放出され、大気の南北循環によって両極(南極・北極)上空に達するまでにかなり長い年月(一説には20〜30年)かかっている事である。つまり、現在のオゾンホールはかなり以前に先進国といわれる国々がフロンなどを大気中に放出した結果である。現在もまだフロンを使っている部分もあるが、大気中への放出は禁じられています。
最近、成層圏のオゾン減少は両極地方に限らず、中緯度でも観測されるようになり紫外線防止対策が叫ばれるようになった。
(2002.8.5)
3.南極における成層圏の気象とオゾンの破壊
冬は極点を中心に太陽光が当たらない極夜域が広がり、また極を中心とした渦状の大気の流れ(極夜渦)が発達し、周囲の大気領域との間の空気の交換を著しく制限される。このことによって暖かい空気の流入が激減し、南極上空は放射冷却による気温降下の方が大きくどんどん気温が下がる。
成層圏の気温が−78℃以下に低下すると、気体として成層圏に存在している硝酸や水が結晶化し無数の氷晶からなる極成層圏雲を形成する。この極成層圏雲がオゾンホール形成に重要な働きをする。
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成層圏の塩素の殆どは硝酸塩素(ClONO2)と塩化水素(HCI)であるが通常の状態では不活性でオゾンと反応しない。しかし一般的に気体のみの場合起きにくい化学反応が、固体または液体の表面を介して活性化して化学反応が進行する場合がある。
オゾンホールの場合、極成層圏雲の氷晶表面を介して化学反応が活発化する
例 ClONO2+HCl Cl2+HNO3 (1)
(不活性塩素である硝酸塩素と塩化水素が互いに反応し塩素ガスを大気中に放出し、硝酸を氷晶内に取り込む)
この化学反応の結果、極成層圏に大量に発生したCl2は、太陽光によって容易に光分離しオゾンの破壊作用のある塩素原子となる。
フロンを構成している元素のClが遊離すると
Cl + O3 → ClO + O2 (2)
ClO+ O → Cl + O2 (3)
このような化学反応を繰り返すことによって、オゾンが減り酸素分子が
増える。ハロンに含まれる臭素原子(Br)も同様と考えられる
しかしこの反応が活発になるためには、氷晶と太陽光が必要である。したがって春に南極に太陽が戻って
成層圏が未だ暖まる前というタイミングが必要である。
もちろん太陽光を必要としない化学反応によっても冬あるいは夜にも活発ではないがオゾンの破壊が行われてい る。
光化学スモッグの発生機構
1. オゾン(O3)
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光化学スモッグの主役はオゾンである。オゾンは酸素原子3個からなる化学作用(酸化)の強い気体で、かっては有益なガスとして誤って理解されてきた。これは天然のオゾン濃度は低く、自然にオゾンが発生するようなところは太陽光線が強く(紫外線が多い)、太陽光線の強い土地は健康によいと考えられていたためと思われる(天然のオゾンは濃度が低く、何も感じなかったというのが実情であろう)。
工場や自動車などから排出された窒素酸化物(NOX)、炭化水素(RH)等が大気中で太陽光線に照射されて光化学反応物質が生成される。光化学反応物質が生成される機構がすべて明らかとはなっていないが、現在までに明らかにされた概略をO3について簡単に述べる。
物が燃焼するとNO2が生成される(一次汚染物質)
NO2 + hν(紫外線) = NO + O ……………(1)
原子状の酸素(O)は反応性が強く
O + O2 → O3 ……………………(2)
O3 + NO → NO2+ O2 …………(3)
(1)〜(3)の反応を繰り返していれば大した問題はないのだが、燃焼によって同時に発生する炭化水素(RH)が空気中で何らかの過程で、有機過酸化物(RO2)を造る。これが反応活性でNOと反応し
NO + RO2 → NO2 + RO ……………(4)
(4)の化学反応によってNOが減少し、(3)の反応を抑制する。結果O3(二次汚染物質)が空気中に残留することになる。
その他、光化学反応では、パーオキシアルアセチルナイト(PAN)及びその同族体のような酸化性物質、ホルムアルデヒト、ケトン、アクロレインのような還元性物質、また、亜硫酸ガスがあれば硫酸ミストのような微粒子状物質が生成されることが明らかにされている。
以上のように、大気中に排出された一次汚染物質が紫外線の照射を受けて生成される二次汚染物質による汚染を「光化学スモッグ」と呼んでいる。また、光化学反応によって生ずる酸化力の強い物質を総称して「オキシダント」と呼ぶ。
2.光化学オキシダントの人体への影響
光化学オキシダントの発生に伴う健康への影響としては、主として、目が痛い、涙が出る、せきがでる、のどが痛いといった粘膜刺激症状と呼吸器への影響などがあげられる。
(1)昭和45年以降わが国で起こった被害者の主な症状
ア、局所粘膜症状として、眼痛、流涙、咽頭痛、咳、息切れ、呼吸困難、胸痛
イ、全身症状として、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、悪寒、発熱、倦怠感
ウ、神経症状として、四肢のしびれ感、けいれん、意識障害等
(2)予防と被害時の対策
被害の多くが、運動中あるいは運動後の者に多いことから、オキシダントの発生が予測される条件下、光化学スモッグ予報や注意報が発令された場合、屋外での過激な運動をつとめてさけるように心がけることが大切である。
また、同一条件下におかれた集団でも被害を受ける者と被害を受けない者とがある。起立性調節障害、アレルギー、ビタミン欠乏、呼吸器疾患、心疾患を指摘されているものは、可能な限り治療を受けておく必要がある。更に、疲労を起こすような生活(睡眠不足、欠食)は避けるべきである。
被害が発生した場合、まず被害者を出来るだけ安静にさせると同時に、被害者だけでなく、被害を受けなかったものの不安感を取り除き、原則的には医師の指導に従うべきであるが、とりあえず「眼が痛い」「のどが痛い」等の症状だけの場合、浄水や1%の食塩水等による洗眼、うがいを行う。また「体温の異常」「脈拍の異常」「呼吸数の異常」「結膜、咽頭粘膜の発赤」等があったら、すぐに医師の診断治療を受ける要がある。
*大気大循環
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